特定秘密保護法案が参議院も通過してしまいそうです。 
 マスコミや弁護士がこれに反対していると、「自分らに都合が悪いからだろう。」とか「弁護士は直ぐに自由が危ないとか、民主主義が危ないとかいうけど、大げさな。」と拒絶反応をする方が大勢います。 
 しかし、本当にそうなんでしょうか。
 日本国憲法、いや現在の世界の憲法が目指しているのは、個人の自由のための民主主義です。単なる多数決ではありません。 
 そういう民主主義を成立させるには、いつもで多数者と少数者が入れ替れる可能性がある必要があります。
 少数者が一転多数者になる可能性が残されていないといけません。 
 それを判断するためには、できるだけ権力側の情報が、我々一般人にも公開されている必要があります。
 政府のやっていることが、正しいのかどうか、自分にとって得なことをしようとしているのかどうか、人の幸せに役立つことをやっているのか、税金の無駄遣いをしていないのか…等々。 
 ところが、今回のように不十分な検討で、「えいやっ」で法律を通してしまっては、法律の内容が曖昧すぎて、濫用の危険が大き過ぎます。 
 確かに、施行当初は適正に運用されるでしょう。 ても、濫用されるのは、国家の緊急事態が発生した時です。 災害などで、情報を一々出す暇がなく、またいろいろな意見を聞いていては行政が停滞してしまう時は、一時的に強力な指導力でどんどんやってもらう必要があるでしょう。 
 しかし、危惧されるのは、同じ政権が長く続いた時、あるいは今回のように圧倒的多数の与党ができた時、行政・政権政党にとって緊急と言う理由で、些細なことが特定秘密に指定され、民主主義の根幹である表現の自由(「知る権利」)が奪われる恐れです。 
 権力を握るお偉い方の情報を秘密にする法律は、 憲法改正と同じぐらい、もっと国民の議論を経て成立させるべきだと思います。

明石本町法律事務所