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弁護士コラム:【離婚問題】財産分与と「一切の事情」

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家庭裁判所は、当事者双方がその協力によって得た財産の額その他一切の事情を考慮して、分与をさせるべきかどうか並びに分与の額及び方法を定めるとされています(民法768条3項)。今回は「その他一切の事情」についての高裁判例についてご紹介します。

夫婦関係が円満なときに、夫婦がお互いに相手方名義の財産の内容を正確に把握し、その内容に関する的確な資料を保存しているようなことは通常は想定できないので、当事者は、離婚の話がでてきてから財産分与の判断に必要な証拠資料を収集するのが通常です。ところが、当事者が十分に証拠資料を収集することができず、相手方において財産分与対象財産を開示していないと主張し、裁判で相手方の預貯金などについて調査嘱託や文書提出命令を申し立てることもあります。もっとも、それらが功を奏さないこともありますし、裁判所が探索的な申立てであると判断した場合は申立てが却下されることもあります(家庭の法と裁判36号71頁参照)。

大阪高裁令和3年8月27日は、基準時における財産分与対象財産の存在を認定できる的確な証拠がない場合でも、当事者が開示していない財産分与対象財産を保有し、あるいは保有しえた認めるべき事情が認められる場合、その事情を「一切の事情」において考慮し財産分与の額を定めることが相当と判断しました(同72頁)。

事案へのあてあめについて、裁判所は、相手方は別居の4年前から別居までの間に合計3386万円の収入を得ていたこと、しかし申立人がほとんどの生活費を負担していたこと、相手方の基準時時点の預金残高は300万円に満たないこと、相手方が上記給与収入が費消されたことについての的確な証拠を提出していないことから、相手方は上記給与収入の2~3割程度の資産を保有し、あるいは保有しえたことが推認できるとしました。

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